2014年2月12日水曜日

中東旅行

1月下旬から旧正月休みが始まった。中国での辛い生活の唯一の楽しみは、休みの日にどこかに旅行に行くことだ。今回はドバイに行ってみた。初めての中東、そしてイスラム教国への旅行ということもあり、なかなか新鮮で刺激的だった。

ドバイはよく知られているようにメチャクチャにバブリーな国で、世界で一番高いタワーや世界で一番大きなショッピングモール、世界最大の人工島があるアラブ首長国の都市である。砂漠地帯の一角に現れるその「人工」感はすごくて、人間の欲望の力の凄まじさを感じざるをえない。ショッピングモールには欧米のラグジュアリーブランドが並び、ランボルギーニの車が展示されていて、人工のスキー場や水族館までモールの中にある。

一方そこにはイスラムの戒律がある。ドバイはかなり規律は緩いとはいえ、モールの中では酒は売っておらず、基本的にBGMもない。また宗教衣装を着たイスラム教徒が多く、モール内に礼拝室もある。とくに性に関しては非常に厳しく、エロは言うに及ばず、結婚していないイスラムのカップルが歩いていることすらない。厳格なイスラム教徒の彼らは、一見すると人間の欲望からはかけ離れた世界に住む人たちのようにも見えるが、よく見るとショッピングモールで欧米の高級品を買い、金ピカの装飾品を身に着け、スマホをいじっている。その風景がとても新鮮だった。

中国も共産主義と資本主義が共存している不思議な国だけど、中国人はとても合理的なので、国家として統合させつつ国益を得るという方法論としてその二つを選んだ、というのはまあなんとなく理解できる。ドバイの場合は、イスラムの戒律と人間の欲望の許容をどうコントロールしているのか興味深い。

ドバイは宗教以外の部分に関してはとても国際的な街だった。労働者はほとんど外国人だし、言葉はたぶんアラビア語より英語の方が通じるんじゃないかと思う。看板はほぼすべて英語とアラビア語のバイリンガル。一番驚いたのは航空会社だった。今回はカタール航空を使ったのだけど、客室乗務員もほとんどが外国人で、アラブ人がアラビア語で質問した時、「アラビア語は使えません」と対応していた。カタール航空はバルサのスポンサーで、メッシが広告に出ている。金髪・付け鼻のテレビCMで顰蹙をかっていたどこかの航空会社とはえらい違いである。

街中は日本車が多いのが印象的だった。目測でいって半分以上が日本車なんじゃないかと思う。
とくに砂漠行きの車はほとんどがトヨタのランドクルーザーだった。北京では1割も日本車を見ないけど、中東では日本車はがんばってるようだ。残念ながらショッピングモールでは紀伊国屋書店以外目ぼしい日系の店はなかった。

帰りはカタールのドーハに半日ほどトランジットして帰った。ドーハはドバイに比べるとまだまだ規模は小さいけど、ドバイと同じように西洋文化を受け入れるような形で成長している街である。いとこもカタールで石油のプラント開発の仕事をしている。

ドーハは文化振興に力を注いでいるようで、大きな現代アートの美術館とイスラムの文化博物館があった。この美術館は村上隆が2年前に大きな個展をやって話題になっていたところで、今回はダミアン・ハーストの個展をやっていた(残念ながら1週間前に終わっていたので、外観だけ見た)。ハーストといえば現存するアーティストで世界一高い値段で取り扱われている作家として有名であるが、ハーストの個展を美術館丸々使った規模でやるなんて、何十億円単位で金がかかっているのは素人でも分かる。