2014年1月20日月曜日

アデル、ブルーは熱い色

いやー、すごい映画を見た!去年のカンヌでかなり話題になっていて、気になっていた映画「Blue is the warmest color」を先ほど見終えた。前評判に違わず、これは紛れもない傑作だと思う。同性愛ものの映画の傑作にウォン・カーウァイの「ブエノスアイレス」があるけれど、あの映画から15年ほど経ってやっとそれを更新するものが現れたと言ってもいい。

(以下、ネタバレ含む)
物語は二人のレズビアンカップルのラブストーリーで、高校時代からはじまり、その後の彼女たちの顛末を追ってゆく。普通の家庭で過ごすアデルとアーティストでエキセントリックなエマの二人がこの物語の主役で、「出会って、盛り上がって、すれ違って、別れる」、というような、話自体は昔から幾度となく繰り返されてきたものに過ぎない。

とにかくこの二人の演技がすごい。レズビアンの映画は今までにもあったけれど、ここまで濃密なセックスシーンは(ポルノ以外で)見たことはなかった。「むさぼり合う」という表現がぴったりくるようなそんな濃密なシーンで、だからこそ後半のすれ違いや別れの辛さが響いてくる。この二人の女優のプライベートは知らないけど、レズビアンじゃないとしたら大したものだ。

そして、この映画の魅力は日常と非日常の撮り分けの見事さだと思う。この映画はアデルの視点で撮られていて、アデルの高校、家族、保育園での仕事が日常で、対するエマのいるアートの世界が非日常である。アデルが日常と非日常の狭間をさまよう、というのがこの映画の肝である。とくに二人のクラブでの出会いのシーンで、アデルが昼の世界から夜の世界にさまよいこみ、そこで新しい世界に出会うシーンがなんとも新鮮だ。十代後半の頃の気分を思い出すようである。そして、エマのこっちを見透かすような表情もまた良い。

あと、今のこの時代でこんなに登場人物たちがタバコを吸いまくってる映画も珍しい。家に電話をかけてたり、エマのファッション(Gジャン着てる)を見ると、ちょっと昔っていう設定なのかもしれない。

前半の二人が楽しそうなシーンは、見てるだけで幸せな気分になる。例えば公園でスケッチするシーンとか、ラブパレードに二人で参加するシーン、微妙に噛み合わないこんな会話も。「ファインアートってなに?醜いアートもあるの?ピカソなら知ってるよ。」

後半、結局二人にはすれ違いが生まれてしまい、見るのもつらい展開になってくる。エマのアートの仲間が集まるパーティーや展覧会のレセプションでアデルが感じる居心地の悪さもうまく描けていた。実際、アートのパーティーなんて見栄っ張りのバカみたいな奴らが交友関係ひけらかすだけのくだらない場(もしくはそういうゲーム)で、そんなスノッビーでアーティーな雰囲気もうまく撮られているように思う。

そして、この映画の一番すごいところは、実は全然たいしたことのない話を撮っているということだと思う。同性愛の映画だと、「他者からの不理解」のような所に話を落としがちだけれど、この映画は意外とそういうシーンが少ない。アデルは男とも寝るし、異性愛の話でも成り立つような普遍的な話だと思う。誰か死ぬわけじゃないし、よくあるようなことで別れる。特別ドラマチックなことが起こるわけじゃなくても、二人の関係性だけで十分おもしろい。

2014年1月14日火曜日

ルームシェアでの生活

北京、とくに大学の周りは家賃が高すぎて、とても今の給料では一人暮らしできず、北京に来た時からシェアハウス暮らしをしている。最初は大学から安い大学の寮の部屋があると聞いていたのだけれど、鉄格子のない牢屋のような部屋を紹介され、泣く泣く外で住むことになったのである。台湾に住んでいた時はホテルのような部屋に住んでいたので、まさしく刑務所行きになったような気分だった。居留許可の手続きの都合で部屋を決める時間もほとんどなく、北京在住者向けの情報サイトで偶然見つけたこのシェアハウスの部屋に住むことになった。

このシェアハウスの仕組みはというと、まずマンションの一室を借りている中国人がいて、その彼がネットで告知を出してルームメイトを募集し、一室の中の数部屋を何人かに貸し出している。彼が言うにはこのマンションは1室買うのに1億近くする高級マンションらしいのだが、そこらに落書きがあるし、廊下に唾は落ちてるし、部屋の建てつけは悪いし、とてもそんなにいいマンションだとは思えない。牢屋よりはマシだったのでここを選んだにすぎない。なんでも北京はいまメチャクチャな住宅バブルで、また教育格差も酷いため、良い小学校が近くある場所はとくに高いらしい。

部屋の間取りは3LDKで、うち1部屋は部屋の中にトイレとバスも含まれている。最初は小さい方の部屋で住んでいたのだけれど、耐えられなくなって途中で大きい方の部屋に引っ越した。これだと東京の一人暮らしと変わらないぐらいの部屋代だけど、北京の大卒平均初任給は約5000元(8万円くらい)である。北京はどうやって人が暮らしているかほんと不思議だ。

ルームメイトは色んな人間がやってきた。まず最初にユダヤ系アメリカ人、中華系オーストラリア人、台湾人と中国人の夫婦との生活が始まった。このころのメンバーが一番良かったかもしれない。アメリカ人とは映画の趣味も合ったので、みんなでよく映画も見てたし、台湾人とも台湾話と中国の悪口で盛り上がった。中国に来た当初は色々トラブってて精神的にも滅入っていたので、シェアハウスをしていてかなり助かったかもしれない。途中で共産党青年部のノルウェイ人も居候するようになった。マルクス主義者なんだけど、この国の共産主義には批判的で、面白い人だった。

2013年の春からはこのメンバーは僕以外総替えで、中国拳法家のドイツ人と派遣労働で中国に来た日本人のおじさんと過ごした。このドイツ人は家の中でも江頭2:50みたいな恰好をしながら修行をしていて、ある時山に修行しに行くと言って去ってしまった。日本人のおじさんは40過ぎの中年で、日本での仕事がなくなって中国に電話サポート対応の仕事をしに来た人だった。ある時中国での仕事も解雇されて日本に帰国してしまった。管理人が言うには、日本では生活保護をもらって暮らしているらしい。日本人同士だからか微妙な距離感みたいなものもあり、ほとんど会話も交わしていなかった。もうちょっと色々話をしていても良かったのかもしれない。

2013年の途中からは女性もルームシェアのメンバーとしてやってきた。といっても残念ながら良い経験はまだできていない。華僑系のマレーシア人の女の子は、マレーシアで生まれてインドネシアで小中学校をすごし、イギリスで大学を出て、ロンドンで働いていたけれど、退屈だから北京に語学留学に来たという人だった。北京でも華僑の人が多いけど、みんな大体マルチリンガルでフットワークが軽く、国家や民族に縛られない軽やかさがあってかっこいい。他にはブラジル人、イタリア人、メキシコ人の女の子も短期でやって来た。

そして今は、よく分かんないジョークを飛ばしてくるイギリス人のおっさんと良い人なんだけど夜はあれの声がうるさいフランス人の女の子、映画の脚本を書いてる中国人の女の子と暮らしている。