2013年9月30日月曜日

3Dプリンタと幾何学図形

最近、仕事で複雑な計算をすることが多くなり、計算機ソフトをよく使うようになりました。最近の計算機ソフトでは数学の計算はもちろん、グラフを描いたり、それをCADのフォーマットで出力したりすることができます。巷では3Dプリンタが話題になってますが、このソフトは3Dプリンタとも相性がよく、数学の関数を使って描き出した図形も出力することができます。これを使って何か作れないか最近考えています。


試しに作ってみた立体図形を紹介します。左の図形はフェルマー曲線と呼ばれる図形を元に作っています。 この図形は4次元(複素2次元)の空間に入ってる2次元(複素1次元)の図形で、フェルマーの最終定理で有名な方程式を使って定義されます。 しかしながら、人間の目では縦・横・高さの3次元の物体しか目で見ることはできません。 この図形は、4次元空間の図形を3次元空間内に「射影」して、目に見えるようにしたものです。 「射影」というのは文字通り図形の影をとったもので、物体の影が平面になるように、4次元の空間の「影」は3次元になります。

とくにこの図形は5次のフェルマー方程式を使って定義されていて、この場合はカラビ・ヤウ多様体と呼ばれる物理でも重要な図形(の切り口)になっています。 物理の超ひも理論では、素粒子の運動を記述するのに10次元の空間を使って説明されますが、10次元から時空の4次元を引いた6次元がこのカラビ・ヤウ多様体になっています。この空間は小さすぎるため、それを観察することはできませんが、数学を使ってそれを計算することはできます。とくに最近はミラー対称性と呼ばれるカラビ・ヤウ多様体の不思議な現象が知られており、これが物理と数学の双方でホットな話題になっています。