2012年10月28日日曜日

北京の環世界

先月は北京への引越しやら反日デモやらで色々大変だったのですが、今月に入ってようやく落ち着いてきました。来た当初は毎日咳をしていて、騒音で頭が痛かったのですが、ようやく体もこの街に慣れてきたようです。人の体はよくできていますね。まあ寿命を縮めてるだけかもしれませんが。。。

最近読んだ本では国分功一郎さんの「暇と退屈の倫理学」という本が面白かったです。この本では「環世界」という言葉を紹介し、環世界の移動能力の高さが人間と他の動物の違うところである、だから人間は退屈しやすい、ということを書いていました。環世界というのはハイデッガーの言う所の何かに<とりさらわれている>ような状態を指すもので、この言葉を使えば、僕はこの一ヶ月北京に<とりさらわれた>環世界で生きていたわけです。絵を描いたり数学をしたりという創造行為は、そもそも「暇」があってできることですので、そのためには環世界を移動すること、すなわちこの<とらわれている>状態から、創造行為に<とりさらわれている>状態への移動が必要です。環世界の移動というのが、創造に結びついてると考えるとなかなか面白いですね。

絵を描く環境も整ってきたので、今月からまた製作を再開しました。先月の反日デモは強烈な体験だったので、何かあそこで感じたことを形にしたいなと思っています。北京は色々とめちゃくちゃな街なので、ネタには困らないかもしれません。生活環境が今までから劣化した分は、きっちり元を取りたいですね。

いま東京・青山のSpiralで開催中(10月27日~30日)のULTRAというアートフェアにTakashi Somemiya Galleryから絵を出しているので、もしよければそちらにもお越しください。

2012年10月3日水曜日

lost in translation 迷失北京


9月30日からの1週間は国慶節と呼ばれる中国の連休で、その期間日本に一時帰国することにしました。この期間はチケットも高いし、帰らないつもりでいたのですが、さすがに今回は色々疲れたので、休養のため実家の奈良に帰っています。一ヶ月ぶりの日本、何よりも空気が新鮮なのが素晴らしいです。北京ではずっと喉がイガイガして、咳込んでいたのですが、帰ってきたら一気に治りました。

先月18日をピークに反日デモは沈静化しましたが、尖閣諸島関係の諸々は未だ解決の糸口は見えていません。日本関係の出版物に規制がかかったり、日本関係のイベントが中止になったりと、文化にまでこの問題が波及するのは非常に嘆かわしいです。

ソフィア・コッポラが撮ったロスト・イン・トランスレイションという映画がありますが、北京で久しぶりにこの映画を見返してみると、共感と郷愁の入り混じった妙な味わいを感じました。この映画が公開されたのは2003年で、当時見たときは海外に行った事もほとんどなかったためか、あまり印象にも残りませんでした。しかし今見返してみると、言葉や文化の全く異なる大都会というのはまさに今僕にとっての北京そのものです。コミュニケーションの齟齬や孤独を感じる主人公たちに共感する一方、映画に出てくる日本的な文化や習慣にも懐かしさを感じます。また映画の中盤で主人公の二人が夜の東京へ繰り出すシーンがあって(当時の東京のサブカルチャーシーンが輝いてますね)、そのシーンは東京という都市のハレの場や祝祭性が描かれているのですが、今の北京の街もまたそんな浮わついた雰囲気を持っています。



of the neige -style- とのコラボも色々と発売し始めました。現在Tシャツストールクッションが発売中で、今後もまた色々なアイテムを出していきます。よろしくお願いします。